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問題多い民主党の公務員改革(産経新聞)

 「省益あって国益なし」との批判を招いてきた官僚組織に、どうメスを入れるのか。中央省庁の幹部人事を内閣で一元管理することなどを柱とする国家公務員法改正案の国会審議が始まり、ようやく改革に向けて歯車が回り始めた。鳩山政権は同法案を「政治家主導」の第一歩として強調するが、民主党の掲げる公務員制度改革には問題点が少なくない。

 最初に、今回の法案で新設する「内閣人事局」だ。政治主導を明確にするため政治家がトップを務める。事務次官から部長級までを同格ポストとみなし、省庁を横断する幹部候補者名簿を内閣官房で作成して、その中から「幹部」を選任する仕組みだ。

 硬直化した年功序列人事は打破すべきである。事務次官から部長級までを同格となれば、昇格や降格など柔軟な人事が行える。省庁を超えた人事を可能とすることで縦割り行政の弊害も排除できる。幹部の政治任用が進めば、閣僚や政務三役を中心とした政策立案もやりやすくなるだろう。

 だが、抜擢(ばってき)や降格を行うには、政治家が多くの官僚の職務経歴や手腕、能力を把握していることが前提となる。部長職以上だけで600人を超すとされる。1人の政治家がいつまでも同じ閣僚ポジションに就いているわけでもなく、一人一人の官僚に公正な人事評価を下すことは容易ではない。公募してきた民間人の能力を見定めるのも難しいだろう。

 むしろ、政治家が「お気に入り」を選ぶ情実人事がまかり通ったり、官僚が出世を願って特定の政治家に猟官運動を行うといった新たな弊害が出るのではないか心配だ。公務員の政治的中立が損なわれれば、国そのものをあやまる。大きな落ち度もなく降格させられれば、当該の人物はもちろん、官僚組織全体の士気まで低下しかねないことに留意すべきであろう。

 恣意(しい)的な政治介入を許さないためにも、選考基準を明確にし、運用の詳細もしっかり整備する必要がある。大臣規範に公務員の任命権を乱用を禁じる規定も明記すべきだ。

 今回の法案の「内閣人事局」が、自公政権下でまとめられた案に比べて大きく後退している点も問題だ。財務省の給与管理や総務省の定員管理、人事院の級別定数管理といった各役所に散らばった権限をそのままにしたためだ。

 内閣の重要政策に重点を置こうと考えても、必要な人員を増やすことが簡単にできない。つまり、内閣人事局が幹部に優秀な人材を登用したとしても、手足となる組織がままならないのでは「政治家主導」にはほど遠い。鳩山政権の公務員制度改革に対する「本気度」が疑われる。

 そもそも、鳩山政権は、閣僚が国家公務員の人事権を掌握することが「政治家主導」と思いこんでいるようだが、それは大きな間違いだ。国家公務員は本来、専門的な立場から政策の分析や検討を行う立場である。政治家が務める閣僚と公務員の役割を明確にさせることこそが公務員制度改革の本筋だ。幹部人事を掌握するだけが目的ならば、「内閣人事局」などという複雑な組織は不要だ。幹部職員を身分保障のない特別職とすれば事足りる。

 公務員の専門性をいかに高め、政権が重視する政策に生かすかが「政治家主導」の意味といえよう。公務員全体の質を向上させる育成の仕組みを早急に整備すべきだ。

 第2に、天下りの全面禁止だ。鳩山政権は民主党のマニフェスト(政権公約)を踏まえて、国家公務員が50代で天下りを前提とした肩たたきを受ける「早期勧奨退職」を認めない方針を示してきた。ところが、方針を百八十度転換させ、当面存続させることにしたのだ。民主党が主張してきた「天下り根絶」に明らかに逆行する。

 方針転換したのは、早期勧奨退職を行わなければ、総人件費が増大するばかりでなく、新規採用者を大幅抑制せざるを得なくなるためだ。総務省の試算では、国家公務員が天下りせずに定年まで勤務するようになると15年後には国家公務員の総人件費は現在より約2割増えるのだという。

 民主党はマニフェストで「国家公務員の総人件費の2割削減」を掲げているが、これでは差し引き4割も違ってくる。ここに民主党のジレンマがある。「総人件費を削減するには天下りに目をつぶってでも早く辞めてもらいたい。しかし、天下りを許し続ければ国民の批判を浴びる」−というわけだ。

 天下りを認めず、しかも総人件費も2割削減するには、キャリア官僚、ノンキャリ職員を問わずに公務員の給与や退職金の水準を引き下げるしかないだろう。年功によって給与が上がり続ける仕組みも見直す必要があろう。

 だが、これら痛みを伴う提案を行えば公務員側の反発は必至だ。「労組を有力支持団体とする民主党には到底できない」(野党議員)との指摘もある。今回の国家公務員法改正案に給与法改正が盛り込まれなかったことに対して、「労組への配慮だったのではないか」との疑問が出ている。給与法を改正しない限り、降格しようが、ラインから外れようが給料は下げられない。

 国家公務員人件費の削減については、鳩山政権内では、国の出先機関の地方移管に伴い、そこで働く国家公務員を地方公務員身分に移管する案が浮上している。だが、地方財政も逼迫(ひっぱく)している。地方公務員として移管するならば、その人件費相当額の税源を地方に移さない限り、地方自治体は納得しないだろう。国家公務員人件費が削減できたといっても、国の財政全体でみれば話にならない。

 「定年まで働ける環境づくり」の中身も問題だ。出世コースから外れた幹部職員を「スタッフ職」として処遇するといった案が検討されている。必要な仕事に知恵と経験を持つベテランを活用するのは1つのアイデアではある。だが、雇用確保のため、必要のない仕事をわざわざ創出するのであれば本末転倒となる。

 民主党は「公務員の労働基本権を回復し。民間と同様に労使交渉で給与を決定する」ともしているが、交渉に就く労働組合の存在感はこれまで以上に増す。一方で、政府側の窓口は誰が担うのか。交渉は長期にわたるケースも出てくるだろうが、選挙や政務が避けられない政治家がその責任を果たせるのだろうか。

 21世紀に入り国際情勢は大きく変わりつつある。少子高齢化で国のかじ取りは難しさを増している。官僚組織を、新たな課題に迅速に対応できる「機能する組織」に改めることは待ったなしである。

 前例を踏襲していれば、無難に過ごせた時代は終わった。日本の社会構造は激変しつつある。こうした時代の公務員には何が求められるのか。その仕事と役割をいま一度、再定義するところから議論を始める必要がある。いまの制度を前提とした手直し案では通用しない。(論説委員 河合雅司)

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